目次
0. Introduction
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対象となる読者
- ソフトウェア開発を外部に委託する必要のある方
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本記事の価値
- ソフトウェア開発を外部に委託する際の契約形態や盛り込むべき条文について理解することができます。
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前提
- 特になし
1. ソフトウェア開発の契約形態
ソフトウェア開発に関わる契約は、以下の 3 つに分類されます。これらの契約の違いにより、それぞれの立場や、利害関係が異なってくるので、これらの違いを把握し、違法行為とならないように注意する必要があります。
請負契約
- 契約作業の範囲や、成果物が明確に定義され、対価を見積もり、合意が得られた場合に契約が締結される。
- 受注者は、約束した納期までに成果物を納入する義務を負う。
- 発注者は、納品物に対する対価を支払う義務を負う。
- 発注側と受注側の規模のより、下請け代金法を遵守する必要がある
委任契約
- 契約作業の範囲や成果物を明確にすることが困難な場合、発注側にも受注側にもリスクがある。この場合、作業に費やした人件費を出来高払いとするような契約形態
- 特に、上流設計やフィジビリティスタディなど不確定要素が多い作業では、この形態が多い。
- 成果物の完成責任がないため、業務懈怠により、目的を達成しない場合がある。法律では、これを回避するため、受任者に「善管注意義務」を負わせている。
派遣契約
- 労働者派遣法に従い、派遣業者から労働者の派遣を受け入れる
- 成果物は定義されておらず、成果物の完成責任はない。
- 作業者に対して委任者が指揮命令を出すことができる。
2. ソフトウェア開発契約に盛り込むべき条文
ソフトウェア開発契約に盛り込むべき条文について、以下に列挙しています。インターネット上に、様々なフォーマットや雛形があるので、それらを必ず参考にしてください。
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用語の定義
- 多くの専門用語の共通理解が必要です。
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適用範囲
- システム開発作業等具体的な作業や境界を見えやすいようにしておくようにします。
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協業と役割分担
- 開発プロジェクトは、ユーザとベンダの協力によって成されます。
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連絡協議会の設置
- プロジェクトの進捗、リスク、課題等について定期的に話し合う会議について決めておきます。
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善良なる管理者の注意義務と専門家責任
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成果物の確定
- システム開発やソフトウェア開発プロジェクトでは、要件定義書についてユーザが承認し確定することが、最終成果物の品質維持のために重要な活動になります。
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検収
- ユーザの都合で検収が遅れ、紛争に発展するケースがあります。
参考
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「なぜ、システム開発は必ずモメるのか?49 のトラブルから学ぶプロジェクト管理術」 細川義洋著,日本実業出版社
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「実践的ソフトウェア工学 第 2 版」, 浅井治著, 近代科学社